都市政策:特集ユニバーサルデザイン
財団法人 神戸都市問題研究所 発行
都市政策 季刊第117号 '04.10

特集 ユニバーサルデザイン


題目:『ユニバーサルデザインによるものづくり』
「UD」、「産業クラスター」、「地域技術」の三つのキーワードで
地域産業を活性化! ひょうご福祉新産業研究会の活動から
寄稿 稲葉輝彦


1.はじめに

 ユニバーサルデザイン(以下UDと表現)によるものづくりは、地域産業振興に寄与することから全国的に注目されている。この理由は、UDは地域産業の多くの製品分野へ導入でき、しかも高度な技術や多額な投資をほとんど必要とせずに製品の付加価値を高めるからである。筆者は、ひょうご福祉新産業研究会の世話人として8年近く地域中小企業の新分野進出支援に携わってきた結果、今後の地域産業活性化のキーワードは、「UD」、「産業クラスター」1〜3)、「地域技術」の3つと考えている。この3つのキーワードは、現在、社会が直面している「高齢化」および「グローバル化」という二つの現実から導き出されたものである。すなわち、世界一の日本の高齢化は、他国に先駆けてUD商品を開発し市場展開できる環境といえ、またグローバル化は、産業の新しい仕組み・組合わせ(産業クラスター)を生み出すきっかけとなり、これによる地域技術を活かしたUD商品開発は、地域産業を継続的な競争優位に導くと考えられるからである。
 
 UDの特徴は、新しい市場を創り出すことにある。また、産業クラスターは、これまでにない高付加価値商品を迅速に創り出す特徴をもつ。本稿では、UD、産業クラスターというキーワードに、地域技術の強みを活かすというキーワードを加えることによってUD商品が次々と生まれ、これにより地域産業が活性化する事例を、ひょうご福祉新産業研究会の活動から紹介する。
 なお、本稿で用いるUD商品という表現は、必ずしもUDの7つの原則を満たしたものではなく、一人でも多くの人が使えるいわゆるノーマライゼーションの理念に基づいた商品と考えていただきたい。最近、UD商品、高齢社会対応型商品、バリアフリーデザイン商品、共用品、デザインフォーオール商品、インクルーシブデザイン商品、アクセシブルデザイン商品など多くの表現を見るが、これらの商品の概念の根源はノーマライゼーションの理念にある。このようなことから、本稿中では、UD商品、高齢社会対応型商品、共用品、バリアフリー商品という表現を、特に区別することなく併用している。

2.ひょうご福祉新産業研究会のUDによるものづくり

2-1.ひょうご福祉新産業研究会とは

 ひょうご福祉新産業研究会の設立は約8年前。平成9
年2月である。設立当初は、松葉杖や車椅子用品、自助具といった福祉用具のみを対象に開発を進めていた。しかし、その後、障害のある人にとって使いやすい商品は、健常者にとっても使いやすい場合が多いことが分かり、障害の有無にかかわらずだれにとっても使いやすいUD商品も開発対象に加えた。ここでいう障害のある人とは、高齢者、一時的な怪我人、妊婦など日常生活に何らかの手助けや不便を感じている人全てを含むものである。このようなUD商品は、従来の商品に比べ付加価値が高く、さらに使用者層が厚いことから事業性が期待できる。しかしながら、UD商品は、何らかの手助けや不便を感じる人が楽に使えるという機能を必要と


するため、つくり手側は、これまで以上に人、加齢、障害を理解してものづくりをする必要がある。そのため、つくり手側には、リハビリテーションなどの福祉関連機関との密接な連携が必要となる。また、商品開発に直結するニーズやマーケット情報、そして販路を得るためには、流通との連携も必須である。こういった異分野との広域な連携がないと、地域中小企業の「売れるUD商品」の開発は困難である。研究会では、設立以来、「売れてこそ成功」という取り組みの中で、異業種・異分野との連携を意図的に進め、また近畿経済産業局の指導を受け、現在、産業クラスター(正確にはクラスター・コア)
3)とよばれる組織に至っている。

2-2.「UD」、「産業クラスター」、「地域技術」によるもの
   づくりの強み

 図1の模式図に、産業クラスターひょうご福祉新産業研究会のネットワークを示す。三木・小野・神戸市を中心とした異業種の地域中小企業が、ネットワークにより、大学、リハ機関、病院、流通などと連携している。図は、単純化した模式図であるが、実際は、網の目のようなネットワークである。こうしたネットワーク(産業クラスター)内には、UD商品開発に関する情報や刺激が多く、これまでにない「何を作るか」というイノベーションが起こりやすい。また、異業種の技術を融合して迅速な商品開発が可能で、それを販路にも乗せやすい。ここで特筆すべきことは、地域中小企業にとっての「何を作るか」というイノベーションは、高度な新技術の導入や開発に触発されて起こる場合もあるだろうが、むしろ、既にある地域技術(差別化された伝統的技術・自社オリジナル技術)を核に頻繁に起こるという事実である。その結果、当然地域色に富んだUD商品が種々開発されることになる。後述する算盤の生産日本一という小野市における算盤技術を活かしたUD商品の数々、また三木金物技術を活かしたUD金物商品の数々、さらに日本の六古窯の一つ


図1 ひょうご福祉新産業研究会のネットワーク模式図

丹波焼き産地における丹波UD食器の数々はその典型である。すなわち、「UD」、「産業クラスター」、「地域技術」をキーワードとした取り組みから、地域独特のUD商品が数多く生まれ、これが地域の競争力を効果的に発揮する地域ブランド(ゼロからのスタートではない新たな地域UDブランド)の創生へとつながるのである。

2-3.具体的なUD商品開発事例およびその評価

 図2に、ひょうご福祉新産業研究会の連携から生まれたオリジナル商品の一例を示す。園芸用具、金物、ケミカル、算盤といった地域の伝統的技術から、調理、入浴、ゲームなど種々の分野のいわゆる高齢社会対応型


商品が生まれている。これらの商品は、いずれも地域中小企業1社単独では開発が困難なものばかりである。
図2 開発商品の一例(調理用具、お風呂用具、ゲーム・遊具など)

 図3に、開発商品の評価の一例として、日本リハビリテーション工学協会が主催する福祉機器コンテストの選考結果を示す。図に示したように、5年連続の受賞である。この5年連続の受賞は、まさに、福祉・UDとは全く無縁であった地域中小企業も、これまでにない「何を作るか」というイノベーションが活発に起こる産業クラスターの中で、自社技術から日本一の福祉・UD商品を作り出せることを証明するものである。
 ここで、各年度ごとに受賞した商品の特徴を紹介する。
 先ず、平成10年に優秀賞を受賞した商品は、創作活動の楽しみをエイジレスにというコンセプトの「身楽流(ミラクル)木彫りセット」である。三木の彫刻刀製造技術と神戸ケミカル技術とを組合わせた商品である。力を入れやすい形状の彫刻刀を採用し、また、特殊な滑りにくい樹脂を作業台に貼りつけたことにより、両手を使わなくても、また非力な人でも彫刻を楽しむことが可能である。当商品は、デザイン性にも優れることから、平成10年グッドデザインひょうご特別賞(神戸ファッション協会会長賞)を受賞した。また、斬新性が認められ、日本DIY協会新商品コンテストにおいて日本DIY協会会長賞も受賞した。
 平成11年に最優秀賞を受賞した商品は、障害をもっても高齢になっても自ら調理を楽しみ、いつまでもおいしい食事をしていただこうという願いを込めて、兵庫県立総合リハビリテーションセンター(小山美代氏)と共同開発した「おいしい包丁」というネーミングの包丁である。この包丁は、三木・小野の特産製品である包丁に、柄の角度を自由な位置で固定できるという従来にない機能を付加したものである。この包丁は、リウマチの一主婦のニーズを基に開発したものであるが、身体機能(リウマチ疾患や座位姿勢で調理)の違いに応じ、また使う人の使い勝手の違い(まさに好み)に応じて柄の角度を自由に調整できることから、障害者、健常者ともに使いやすい包丁4)である。
 平成12年に優秀賞を受賞した「たのしいシャワー」は、商品化前であるが、シャワーノズルが上下に2つあり、ノズルを持たなくても手元レバーでシャワーの出るノズルとその向きを自由自在に変えることができる特徴をもっている。要は、シャワーのあたるところに身体をいちいち動かさなくてもよいというだれにとっても使いやすい便利さがある。
 平成13年に優秀賞を受賞した商品は、「ガッチリ手すり浴槽用」である。生活協同組合コープこうべ福祉用具開発研究会との共同開発商品である。デザイン性に優れることから(財)大阪デザインセンターのグッドデザイン商品の認定も受けた。この浴槽取り付け手すりは、「締め加減がわからない」、「楽に取り付けたい」というユーザーの困った声から生まれた商品である。レバーハンドル式の締め具を用いるため、軽い力で締め付けることができ、また、一定の締め付け力に達するとレバーが空回りを始めるので、取り付け完了を直感的に知るこ
図3 福祉機器コンテストの結果

とができる。このような機能的な商品であることから、平成14年末に日本経済新聞社から発行された「だれにとっても使いやすいバリアフリー生活用品100選」5)にも掲載された。 
 最後に、平成14年は、「神戸ミニヤード」という、ビリヤードをヒントにした幼児から高齢者までだれでもが楽しめるゲームが最優秀賞を受賞した。当商品は、福祉機器コンテストだけではなく、以下のとおり多方面からの評価を受けている。
  ・(財)日本レクレーション協会推薦用具認定
  ・日本グッド・トイ委員会による2002年度グッド・トイ
   認定
  ・グッドデザインひょうご選定
  ・三木市新殖産品 金賞
  ・上海市民政局社会福利中心 高齢者・障害者向け
   推薦遊具
  ・大阪府産業デザインセンター
   ユニバーサルデザインガイド掲載
  ・共用品白書2003年版
6) 掲載
  ・だれにとっても使いやすいバリアフリー生活用品
   100選
5) 掲載
 一昨年、この新しいゲームを活用して街の活性化に乗り出そうというユニークな取り組みが始まった。神戸市長田区の野田北部まちづくり協議会による日本ミニヤード協会の設立である。協会では、神戸ミニヤードを全国、世界に広めようと、インストラクターの養成を開始し、そして協会主催の神戸ミニヤード大会を、高齢者施設や福祉施設、また各地のイベントで積極的に開催している。この取り組みを進める野田北部まちづくり協議会の会長は、「ミニヤードを全国に、世界に広めて、発祥の地である野田北部の復興した姿をアピールしたい
7)」と抱負を語っている。UDの特徴は市場を創り出すことにあるが、この事例は、単に市場だけではなく、UDのものづくりが街の活性化にも寄与する側面があることを示してる。

3.UDのものづくりによる地域産業活性化事例

 ここでは、小野市の地域産業である算盤に特に注目して、地域産業の活性化事例を紹介する。算盤という地域産業は、閉塞状態にある全国の地域産業の中でもとりわけ厳しい状況にある。なぜならば、算盤は、一般の地域産業が景気の低迷や消費者ニーズの変化、産業経済のグロバール化などで衰退しているのとは本質的に異なり、需要そのものがほぼなくなった地域産業だからである。小野市では、昭和30年代中頃、年に300万丁と極めて多量の算盤を生産していた。しかし、40年代に電卓が普及したことにより需要が激減し、昭和51 年には国の伝統工芸品の指定を受けた。今日も産業振興の対象となっているが、企業数は減少の一途である。このような厳しい状況の地域産業ではあるが、産業クラスターの連携の中で算盤づくりという伝統的技術をUDの視点で見直したことにより、国内外で注目されるユニークなUD商品が次々と生まれ始めた。以下、紹介する事例は、ひょうご福祉新産業研究会および便利屋おの木工房(研究会メンバー企業が自ら立ち上げた小野市の異分野交流グループ)による地域産業活性化事例である。

3-1.算盤技術を活かしたUD商品開発

 図4に、算盤を初めて福祉分野に応用した商品を示す。製品の算盤は、ひごに玉が通っているが、この玉入れ工程は今も機械化されていない。伝統工芸士などの職人が、図のような算盤玉がたくさん入った箱の中に、ひご付きの算盤の枠を入れてかき混ぜながらすくい上げることにより玉入れを行っている。この玉入れ作業は、素人が行うとほとんど入らない。しかし、手首の動作を工夫すると、少し入るようになり感動する。つまり、工夫をしながら楽しみながら玉入れ作業ができるわけである。そこで、「楽しみながらリハビリ」という仮説をたて、国際福祉機器展にこの用具を出展した。その結果、海外出展社や来場した福祉の専門家から大きく注目され、上肢手首の巧緻性、触感・圧感の回復や向上といった身体面の効果、および工夫や予測、競争心など精神面の効果が期待できることが明らかになった。これにより、図に示した用具を、「いきいきそろばん玉じゃらじゃら遊び」というネーミングで商品化した。日々の算盤職人の仕事、技が、そのまま商品になったわけである。こ

図4 算盤を用いた開発商品

の商品は子供にも大変人気があり、種々のイベントではUD体験用具として活用している。

 図5は、引き続き同じコンセプトで開発した「いきいきそろばん玉遊び多段重ね4目遊び」という商品である。算盤玉を用いた新たなUD商品を開発するために、ATCエイジレスセンター(大阪市)が平成12年度実施した即効型販売促進支援事業を活用した。当事業では、大手流通業者、医療・福祉関係などの専門家からなる委員と試作品に対して幅広い意見交換を行った。こうした外部連携も、産業クラスターの一つの活動である。当初、算盤玉を用いた立体4目並べを考案していたが、オリジナリティに欠け、また、算盤玉を4段までしか積み上げることができなかった。事業では、委員との意見交換を基に改良を重ね地元老人病院(共同開発者)で評価を行っていたが、ある時、委員からちょっとしたアイデアが提案された。ひご付きの算盤玉を作るというものである。その結果、図5に示したように、算盤玉を何段にも積み上げることのできるユニークな用具が生まれた。この商品は、本来の立体4目並べとして用いるよりも、玉の積み上げの人気が高い。共同開発した地元老人病院の高齢者はもちろん、大人も子供も玉を積み上げることに夢中になる。この点が評価され、平成13年には小野市新殖産の最優秀賞を受賞した。また、共用品白書2003年版にも掲載された。さらに、図6に示したように、当商品を連携先を通じて英国の福祉施設でモニターしたところ、玉の積み上げは、リハビリ(感覚機能の維持、脳への刺激、集中力など)になり、また、シンプルで楽しいという必須条件を満たしていると好評であった。この事例は、視点を変えることにより、地域にある伝統的技術から国内外に通用するUD商品が開発できることを示している。そして、前述した「ちょっとしたアイデア」が浮かぶことこそが、これまでにない「何を作るか」という産業クラスターのイノベーションそのものなのである。
図5 いきいきそろばん玉遊び
(こうべUDフォーラム2003)
図6 バーギンガムの福祉施設責任者

 この「ちょっとしたアイデア」から、さらに数種類の商品が生まれた。図7に、その一例を示す。「いきいきそろばん玉1・2・3遊び」および「いきいきそろばん玉1・2・3ならべ旗付き」という対戦型遊具である。算盤玉をうまくつかむ動作、台にあけた穴にひご付き算盤玉をうまく入れ る動作で身体機能を活性化し、そして対戦という知的な遊びをする商品である。これらの商品は、シンプルで奥が深いと好評である。また、デザイン性もよく、グッドデザインひょうごの選定商品でもある。
図7 いきいきそろばん玉あそびシリーズの商品

 次に算盤技術にこだわって開発した商品は、図8に示したパソコンのキーボード操作を助ける商品「らくらくKey坊」である。キーボードの操作をしにくい人のニーズから生まれた商品である。キーボード操作を楽に行えることから、当商品を愛用する健常者もいる。共用品白書2003年版にも掲載された。





 図9は、らくらくKey坊に続いて、パソコンのマウス操作を楽にすることを目的に開発した「マウ坊」である。黒檀製である。商品の下面に小さなローラーを取り付けており、当商品とマウスとを一緒に滑らせて用いる。高価な算盤には、加工が困難なことで知られる高級な木材である黒檀が用いられているが、小野市には、この黒檀の豊富な加工技術があり、この加工技術を活かした商品である。この商品は、「らくらくKey坊&マウ坊」というセットでも販売されている。これら二つのパソコン関連商品は、シルバー産業新聞の連載コラム”レッツITシニアぱそこん”において便利なパソコン用具として紹介され、また通販生活や特選街といった種々の雑誌でも広く紹介され注目を集めている。
図8 らくらくkey坊
図9 マウ坊

 図10は、引き続き算盤に用いる黒檀の加工技術を活かしてUDの視点で開発した「ロング靴ベラ」である。靴べらが単に長いだけではなく、靴べらの一部にズボンの裾を上げる機能をもった樹脂を取り付けたところに特徴がある。通常、靴べらは、靴を履く時だけ用いるが、この裾上げ機能を付加したことにより、靴を脱ぐときにも利用できるようになった。靴べらが長く、また裾上げ機能があるため、いちいち座らなくても立ったままで、しかも腰を曲げずに靴の脱ぎ履きができる使い勝手の良さがある。これは、まさに高齢社会に対応した機能をもつ商品である。当商品は、小野市新殖産の最優秀賞ならびにグッドデザインひょうごの大賞(平成14年度)を受賞し、また、共用品白書2003年版にも掲載された。そして、現在、サライ、日経トレンディ、通販生活といった雑誌にも広く掲載され注目を集めている。
図10 黒檀製ロング靴ベラ

3-2.算盤技術を活かしたUDのものづくりが地域産業
    活性化の先駆事例となる

 図11に、山形県の景気・雇用対策特別委員会の県議会議員と県職員らによる、研究会視察の報道を示す。筆者が全般的な活動紹介をしたが、中でも、算盤という厳しい状況にある地域産業の新分野進出の取り組みは興味深かったようである。同様に、山梨県もこうした取り組みに注目している。平成15年7月31日付けの日本経済新聞には、山梨県の戦略的産業ビジョンの策定にあたり、「そろばんの製作と指のリハビリ技術を結びつけるなど、地場産業と福祉を組み合わせた産業振興策を展開している例などを参考にする」という内容の報道がなされた。



 先に紹介した商品開発事例(前節3-1)は、平成12年から平成14年という短期間のものである。その後も算盤技術にこだわったユニークなUD商品が次々と生まれている。すなわち、算盤のように需要そのものがほぼ無くなった地域産業であっても、「UD」、「産業クラスター」、「地域技術」の3つのキーワードで商品開発することにより再活性化するのである。全国の閉塞状態にある地域産業にとって、この小野市の事例は現状を打破する明るい話題であり、ぜひとも参考にしていただきたいものである。
図11 神戸新聞記事 平成14年11月14日付け(神戸新聞社提供)


4.終わりに

 本稿では、「UD」、「産業クラスター」、「地域技術」の3つのキーワードで地域産業が活性化することを示した。コスト面で不利な日本の地域産業が国際競争力を回復するためには、一歩進んだ付加価値の高い商品を次々と生み出す以外にない。この高付加価値商品こそがUD商品であろう。しかしながら、地域中小企業が一社単独で優れたUD商品を開発することは困難である。そのた めに、地域に産業クラスターを戦略的に創出する必要がある。これにより、ゼロからのスタートではない地域UDブランドの創生も可能となる。人類の歴史は道具の歴史とも言われるが、UD商品は、確実におとずれる世界的な高齢化の中で、今後の主流になることに間違いはない。いまこそ、地域は、世界に先駆けてUDによるものづくりを押し進める必要があると思われる。


参考文献

1)例えば、平成13年度自律型産業クラスター創出研究会成果集
  「産業クラスター を創ろう!」,近畿経済産業局,(2002).
2)例えば、石倉洋子他:日本の産業クラスター戦略,有斐閣,(2003).
3)例えば、クラスター・コア実態調査報告書,近畿経済産業局,(2003).
4)稲葉輝彦他:第14回リハ工学カンファレンス講演論文集,
  日本リハビリテーション工学協会,(1999),119.
5)高嶋健夫:だれにとっても使いやすいバリアフリー生活用品100選,
  日本経済新 聞社,(2002).
6)共用品白書2003年版,財団法人共用品推進機構編集,ぎょうせい,(2003).
7)毎日新聞記事,2003年6月11日付け